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子供とIT眼症

  • 先日、中学生から「IT眼症についてお聞きしたいのですが」とクリニックに電話がありました。
  • 後日、お越しいただいたところ、「授業の自己学習でタブレットを用いた学習の有用性について調べているうちに、IT眼症に行き着いた」とのことでした。
   
  • パソコンやスマートフォンなどを使用する際の目と画面との距離は10〜50cm位です。この距離にピントを合わせるために、目の中の調節筋は収縮し、緊張状態となります。
 
  • 長時間のIT機器使用は、調節筋に負荷をかけ、調節筋が疲労します。
 
  • 通常は休憩や睡眠により調節筋の疲労は回復するのですが、長期・長時間の使用や体調不良などにより、調節筋の疲労が取れきれず、蓄積することがあります。
 
  • この調節筋の疲労蓄積により様々な症状が引き起こされた状態がIT眼症です。
 
  • 「ぼやける」、「物がダブって見える」、「目のまわりや目の奥が痛い」、「目が重い」、「目があけられない」、「頭が重い」、「吐き気がする」などの症状が生じます。
 
  • さらに、パソコンやスマートフォンの画面を長時間見ていると、瞬きの回数が減り、涙が目の表面を潤さなくなり、ドライアイも生じます。
 
  • ドライアイでは「目の乾き」のみならず、「目のかすみ」「目の疲れ」「充血」などの症状が出現します。「涙が出る」と訴えることもあります。
 
  • 長時間、同じ姿勢、同じ距離で画面を見ることで、持続する首の緊張が身体的緊張となり、自律神経の失調を引き起こすことがあります。
 
  • IT眼症は上記の症状が大人のみならず、子供にも起こります。
 
  • 特に子供での問題は、精神や社会性が発達する時期にスマートフォンやテレビゲームなどに熱中することで、家族や友人とのコミュニケーションが不足し、精神的・知的発達に大きな影響を与えることが危惧されています。
 
  • IT機器を使わなければ、IT眼症は起こりませんが、現実的にはそうはいきません。
  • どうしてもIT機器を手放せない場合は、以下の三つの50を守ることが推奨されています。
 
  • 50cm離れて楽に見える大きさの画面のIT機器を選ぶ。
  • 連続使用は50分以内とする。
  • 距離は必ず50cm以上離れて見る習慣をつける。
 
  • 15歳までは、眼球の大きさや形、物を見る機能や眼球運動の機能も発達途中です。そのため見る環境がこれらの発達に大きく影響します。
 
  • 上手にIT機器を利用することが大人以上に子供には重要です。

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