後天性眼瞼下垂の点眼治療剤
2025.1.13 ブログ
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昨年の12月26日、参天製薬株式会社は、後天性眼瞼下垂の点眼治療剤(一般名:オキシメタゾリン塩酸塩)について、日本での製造販売の承認申請を行いました。
眼瞼下垂は何らかの原因で上眼瞼(上のまぶた)が下がってくる状態です。そのため、上方の視野が狭く感じられたり、見えにくさを感じるなどの症状が現れます。
上眼瞼挙上には眼瞼挙筋(動眼神経支配)とミュラー筋(交感神経支配)の収縮が携わっており、どちらかの筋肉やそれを支配する神経の機能が低下することで上眼瞼の挙上が悪くなり、眼瞼下垂が起こります。
後天性眼瞼下垂の多くは加齢によるもので、上眼瞼挙筋の腱の伸展によって起こ流と言われています。また、コンタクトレンズ装用者、特にハードコンタクト装用者でも、同様の原因で眼瞼下垂が起こります。
外傷や神経麻痺(脳動脈瘤や糖尿病などによる動眼神経麻痺など)などでも眼瞼下垂が起こりますが、これらでは他の眼の症状や全身症状を伴うことが多くなります。
参天製薬が国内での製造販売の承認申請を行ったオキシメタゾリンは、眼瞼を挙上するミュラー筋の働きに関与する交感神経を刺激し、ミュラー筋を収縮させ上眼瞼を挙上させる薬剤です。
本剤の国内での第Ⅲ相臨床治験では、オキシメタゾリン1日1回の点眼を2週間継続することで、後天性眼瞼下垂症例の眼瞼下垂が改善し、治療効果が確認されました。
現時点では、眼瞼下垂に対する治療法は手術のみです。
比較的挙筋の機能の良い眼瞼下垂(加齢性やコンタクトレンズなど)は回復が見込めますので、当院ではこの分野を専門とする医療機関に患者様を紹介し、手術を依頼しております。
手術は観血的な治療法ですので、ある程度進行した眼瞼下垂の症例が適応となります。
従来治療法がなかった軽度~中等度の眼瞼下垂症例に対する治療法として、オキシメタゾリン点眼薬は期待されます。
1日1回の点眼で治療の成果が現れるのであれば、手軽で便利な治療法です。
新しい薬の製造販売の承認申請をしてから実際に承認、販売に至るまでには1年程かかるようです。
眼科診療施設でオキシメタゾリン点眼薬を処方できるようになるには、今しばらく時間を要します。