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8月30日(金)、第3回HOPE Meetingで「網膜静脈閉塞症黄斑浮腫の治療戦略」と題し講演いたしました。
HOPE MeetingのHOPEはHokkaido Ophthalmic Practitioner Meetingの頭文字で、北海道眼科専門医ミーティングという意味です。
HOPE meetingは私と中外製薬株式会社様が相談し企画した講演会で、2年前から年に1回開催しており、今年が3回目となりました。
毎年2講演を企画し、昨年までは私が2講演の座長(司会進行役)を務めましたが、今年は私が講演することになったため、私の講演の座長を旭川医科大学眼科 長岡泰司主任教授にお願いしました。
私は、網膜静脈が閉塞することで生じる黄斑浮腫(網膜中心部が浮腫むことで、視力低下や変視を自覚します)の治療について講演しました。
黄斑浮腫への治療では、浮腫を消退させる薬剤を目の中に注射します。
注射後数日で黄斑浮腫が消退し、視機能の改善を自覚することができますが、
注射後2.5~3ヶ月ほどで消失した黄斑浮腫がぶり返すことが多く、黄斑浮腫がぶり返すと薬剤を再度注射します。
経過ととももに多くの症例で薬剤を投与しなくても黄斑浮腫のぶり返しが無くなります。
早期に治療を開始することで、良好な視機能を維持することができ、目に病気のない方と変わらない日常生活の質を保つことができます。
今回のHOPE meetingは日本大学眼科 山上聡主任教授をお招きし、
「角膜移植と再生医療の現状と諸問題」についてご講演いただきました。
角膜は目の表面にある透明な膜で、黒目に当たる部分です。
3つの層に分かれており、目の表面から「上皮」「実質」「内皮」と呼ばれています。
かつては、角膜移植といえば濁ったあるいは変形した角膜を円形に取り除き、正常なドナー角膜を3つの層ごと移植する全層移植でした。
現在は実質や内皮だけを移植する角膜パーツ移植が増えており、早期の視機能回復や良好な視機能の獲得が得られるようになっているそうです。
再生医療については、角膜上皮と内皮を培養し、上皮や内皮に障害があり角膜が混濁している症例に移植することで、角膜の透明性が回復し視機能改善を得ることが出来るようになってきたことをご紹介くださいました。
培養した角膜上皮や内皮はすでに企業が商品化しているそうで、
培養ヒト角膜内皮細胞・調整・移植キットが2024年9月1日付で保険収載されるとのことでした。
角膜疾患に対する外科治療は進化し低侵襲となっており、治療効果も高まっているようです。
ご講演では山上先生が執刀されたとても綺麗な術中ビデオをご提示くださり、大変分かりやすくご解説くださいました。
私の専門とは別領域のご講義を賜ることで知識のアップデートをすることができますし、何より角膜領域の進歩に驚かされるとともに、新鮮で興味深く勉強になりました。
次年度もHOPE Meetingを予定しておりますので、企画を練っていきたいと思っています。
ご来札いただきご講演を賜りました山上先生、私の講演の座長をお務めくださった長岡先生に深謝申し上げます。