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加齢に伴う21の目の変化

米国眼科学会ホームページの市民向けのコーナーに、上記タイトルの記事が掲載されましたのでご紹介します。

米国人の3人に2人が、「歳をとると目が悪くなるのは仕方がないことだ」と誤った認識を信じています。確かに、加齢により目も影響を受けるのですが、視機能の喪失は単なる加齢による変化ではありません。

加齢に伴う21の通常の目の変化と視機能を守るための対策を紹介します。

まずは加齢に伴い生じやすい症状についてです。

  • 細かい文字が読みにくい

40歳を過ぎた頃から老眼になります。老眼になると読書や裁縫などの近距離の作業がしにくくなります。老眼鏡や遠近用コンタクトレンズなどが症状を緩和してくれます。老眼治療の目薬が開発中です

  • 夜間、見えにくい

歳をとると暗い所で目が慣れるまでに時間がかかるようになります。この原因は、弱い光を感じ取る桿体視細胞の働きが加齢に伴い衰えてくるからです。夜間や悪天候での運転がしにくくなるのはこのためです。

  • ドライアイ

高齢者では涙の分泌量が減少し、その傾向は女性に顕著です。ドライアイ治療の点眼薬で症状を軽減させます。

  • コントラストの低下

例えば白いカップに入った牛乳のように、見たい物とその背景の色が類似していると識別しにくくなります。これは加齢に伴いコントラスト感度が低下するからです。黒い茶碗にご飯を装うといったように、見たい物とその背景の色が異なるようにする工夫が有効です。

  • 瞼の縁が赤く腫れやすい

眼瞼炎は瞼の炎症で、加齢よるホルモン分泌の変化により眼瞼炎が起こりやすくなります。瞼の縁が赤くなったり、瞼がむくんだり、まつ毛の生え際が痒く、ヒリヒリする症状が出ます。

  • 飛蚊症

硝子体(しょうしたい)は眼球容積の2/3を占める透明なゼリー状の物質で、網膜と接着しています。加齢に伴いゼリー状から液体に変化し、やがて硝子体は網膜から剥離(後部硝子体剥離)します。その際、飛蚊症が強くなります。後部硝子体剥離が起こると、網膜裂孔や網膜剥離が生じることがあるので、眼科検査が必要です。

  • 光視症

視界の端でピカッと光を感じる光視症も目の加齢性変化、硝子体の液化が関連しています。眼球を動かすと、液化した硝子体が目の中で動き、網膜を刺激するため、本来は存在しない光を自覚するようになります。

  • 眩しさ

加齢に伴い、眩しさを自覚することが多くなります。家庭の照明器具を調整したり、外出時のサングラス装用やつばの広い帽子を被ったり、デジタルデバイスの画面にフィルターをかけるなどの対策で症状の緩和を図ります。

  • 白内障

水晶体の加齢性変化として、透明な水晶体が濁る状態が白内障です。

  • 加齢黄斑変性

網膜の中央部分である黄斑の加齢性変化です。初期は無症状ですが、加齢黄斑変性の進行により、中心暗点や変視といった症状が現れます。加齢黄斑変性のタイプに応じた治療が行われます。

  • 緑内障

緑内障は50歳以降の成人では頻度の高い疾患の一つです。視神経線維が障害される疾患で、失明に至る症例がおられます。気が付かないうちに視野欠損が進行していることが多いため、定期検査が緑内障による視機能喪失を防ぐ最良の手段です。

  • 糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は成人の視機能障害の主要な原因疾患です。高血糖の持続が網膜の血管を障害し、網膜症の進行が視機能低下をもたらします。光凝固や硝子体手術、抗血管内皮増殖因子剤の眼内注射といった治療法があります。

  • 眼底の腫瘍

眼底のメラノーマ(悪性黒色腫)は稀な疾患ですが、白人の高齢者では眼底に発生する最も頻度の高い腫瘍です。早期発見には定期的な眼底検査が有用です。

  • 転倒で目を傷つけることがあります

歳を取ると身体のバランスが不安定になったり、視機能の低下のため、転倒しやすくなります。この際、目を殴打し、目に怪我を負うことがあります。家での転倒が多いため、転倒時に目が受傷しやすい家庭内の原因を取り除く工夫をしましょう。

・家具の角などにクッション材をあてる

・手すりをつける

・ラグマットがズレないようにする

  • 睡眠障害

加齢に伴い、青色光の目の中での吸収が低下すると報告されています。その結果、メラトニンの産生が低下するため日内リズムが乱れ、睡眠障害を来します。睡眠障害は緑内障や糖尿病網膜症の患者さんで生じやすと言われています。

次に、目と身体の健康を維持するための対策を紹介します。

  • 身体の変調がまず目に現れることがあります

定期的な目の検査が身体の健康管理に役立ちます。高血圧や高コレステロール、ビタミン欠乏などの疾患を目の検査から見つけることができますし、認知症のリスクも目の検査から知ることができます。

  • 家族の病歴を知ることが、今後発症する可能性のある疾患の予防につながります

家族の病歴を知ることで、将来の病気のリスクを知ることができるので、若いうちから予防に努めることができます。

  • 健康な生活が疾患予防につながります

運動やバランスの良い食事を摂るといった健康的な日常生活を心がけることが、健康を維持する秘訣です。健康的な日常生活は肥満や糖尿病を予防することができ、目の健康維持につながります。

  • ロービジョンケアのツールが手助けとなります

加齢の変化として良好な視機能を失うことは一般的にはありませんが、疾患で視機能が低下した場合は、視機能が低下した方の生活を支援するツール(道具や機器)を利用することで、自立した生活を維持することができます。

  • アルツハイマー病や痴呆患者のケアの一環として目の検査を行いましょう

アルツハイマー病や痴呆の患者の体調管理が視機能維持につながります。

  • 歳をとるほど頻回に目の検査を行いましょう

目の健康を維持するために散瞳して眼底検査を行いましょう。米国眼科学会は40歳になったらまず眼科検診を受けること、65歳を過ぎたら1、2年に1度は眼科検査を受けることを推奨しています。

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