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減量薬は前部虚血性視神経症のリスクあり?

2型糖尿病と肥満の治療薬であるオゼンピックとウゴービの有効成分であるセマグルチドを服用している患者は、失明につながる非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)を発症するリスクが高まるという、ハーバード大学の神経眼科学研究チームの論文が、7月3日、JAMA Ophthalmologyの電子版に掲載されました。

非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)は、視神経への血流障害が起こり、痛みを伴わずに突然片方の目の視力が低下する疾患です。

ハーバード大学の神経眼科学研究チームは、2型糖尿病と肥満の治療薬としてセマグルチドの投薬を受けている患者と他剤で治療している患者のNAION発症頻度を検討しました。

3年間の累積頻度は、2型糖尿病および肥満の治療薬としてセマグルチドの投薬を受けている患者はそれぞれ8.9%と6.7%、他剤で治療している患者はそれぞれ1.8%と0.8%で、セマグルチドで治療されている患者は治療疾患に関わらずNAIONの発症リスクが高いことが判明しました。

この論文を受け、7月8日、アメリカ眼科学会と北米神経眼科学会は減量薬と目の健康に関するアドバイスを発表しました。

「セマグルチドは世界中で信頼性の高い複数の臨床試験が行われ、米国FDA は2017年にセマグルチドを医療用に承認しました。世界中で何百万人もの人々がこの薬を服用しています。今回報告された論文はセマグルチドとNAIONの関連性を報告した最初の研究です。

この研究の対象は2型糖尿病あるいは肥満症例でした。糖尿病患者はすでに NAIONのリスクがあることが知られています。NAION発症の他のリスク要因には、心臓病、心臓発作の既往、高血圧、睡眠時無呼吸などがあり、肥満症例の中にはこれらのリスクを有していることが考えられます。

今回の研究対象者はNAIONの発症リスクを有している症例が多い可能性があり、セマグルチドを服用しているすべての人がNAION発症のリスクが高まるかどうかについて判断するのは困難です。

市販後調査研究(患者に製品が発売された後に製品の安全性と有効性を監視するタイプの研究)は、セマグルチドとNAIONに関連があるかどうかを判断するのに役立つ可能性があります。」

現時点では、セマグルチドの服用を中止することは推奨されていません。従来通りの服用継続をお勧めします。

ただ、セマグルチドを服用して突然視力が低下した場合は、薬の服用を中止し、すぐに医師の診察を受けてください。

ハーバード大学の神経眼科学研究チームが行った研究の対象は、セマグルチドの最初の処方後にNAIONの症状を発症しました。 

NAIONの症状には、次のものがあります。

・かすみ目

・色の感覚の変化

・周辺視野の喪失

・視界に動かない暗いまたは灰色の点

・コントラストまたは光に対する感受性の喪失

NAIONは通常、何の前触れもなく起こります。視力低下は軽度から重度まであります。

ほとんどの人は痛みを感じませんが、10%ほどの症例で目の痛みが生じることがあります。

残念ながら現在のところ、NAIONに対する有効な治療法はありません。

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