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カルシウム拮抗薬は緑内障を進行させる?

カルシウム拮抗薬は、血管を拡張させ血圧を下げる作用があり、高血圧治療の第一選択薬のひとつとして用いられています。また、カルシウム拮抗薬はもともと狭心症治療薬として開発された薬剤ですので、狭心症の治療薬としても広く処方されています。

JAMA Ophthalmologyの電子版に、カルシウム拮抗薬が緑内障のリスクを高めるという英国からの報告が掲載されました。

この研究はUKバイオバンクという調査のデータを利用し、解析しています。

UKバイオバンクは、遺伝的素質や栄養状態、生活様式、薬物療法などが疾患に与える影響を、長期的・大規模に調査する英国の研究です。

UKバイオバンクには2006年からの4年間に約50万人が登録され、30年以上の追跡調査が行われる予定です。

今回の研究では、緑内障の評価に重要な眼圧測定、網膜神経線維層・神経節細胞層の厚み測定などを行っている40万人超を対象としました。

このうち、カルシウム拮抗薬を服用している方は約3.3万人おられ、カルシウム拮抗薬を服用している方は服用されていない方と比べ、緑内障の特徴的所見である網膜神経線維層と神経節細胞層の菲薄化を認め、緑内障を罹患している割合が1.39倍高率でした。

この結果は、カルシウム拮抗薬が緑内障に望ましくない影響を与える可能性を示唆しており、眼圧のコントロール状態が良好にも関わらず緑内障の視野障害が進行するカルシウム拮抗薬服用中の緑内障患者では、カルシウム拮抗薬を中止し、他の高血圧治療薬に変更することを検討するべきであると結論付けています。

カルシウム拮抗薬は、血管拡張作用を有するため視神経の血流増加による神経保護作用や、神経細胞へのカルシウムの過剰流入による細胞死を抑制する作用を持つことから、緑内障性視神経障害に対して神経保護的な作用を発現することが期待されるという報告もあり、カルシウム拮抗薬と緑内障の関連についてはさらなる研究を要すると思われます。

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