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アステラス製薬が開発中の萎縮型加齢黄斑変性に対する治療薬が、8月4日米国食品医薬品局(FDA)、8月18日欧州医薬品庁(EMA)から販売承認を受けました。
加齢黄斑変性は高齢者の失明原因の主要な疾患で、世界中でおよそ3000万人から5000万人が罹患していると言われています。
加齢黄斑変性の初期には、網膜の裏にドルーゼンと呼ばれるリポ蛋白が蓄積します。
ドルーゼンには補体C3やC5が含まれており、これらの補体の活性化が炎症を惹起し、加齢黄斑変性の進行につながると考えられています。
慢性的な炎症が持続することで、萎縮型加齢黄斑変性では網膜色素上皮細胞や視細胞が消失し、地図状萎縮と呼ばれる黄斑部網膜の萎縮領域が次第に拡大するため、視機能障害が進行します。
今回承認された萎縮型加齢黄斑変性に対する治療薬は、補体C5の作用を阻害するRNAアプタマーと呼ばれる核酸医薬品です。
第3相臨床試験では萎縮型加齢黄斑変性の750人ほどの患者に本薬剤を毎月、目の中に注射した結果、投与後12カ月の時点で地図状萎縮の進行を27~28%抑制することが確認されました。
一方、薬剤投与に伴う問題となるような有害事象は認められませんでした。
日本では加齢黄斑変性患者の約10%が萎縮型加齢黄斑変性で、残りの90%が滲出型加齢黄斑変性と報告されており、欧米人と比べると萎縮型加齢黄斑変性は少ないのですが、日本でも萎縮型加齢黄斑変性の患者さんは確実に増加中です。
今まで、萎縮型加齢黄斑変性に対する有効な治療法がありませんでしたので、今回の薬剤の承認は朗報です。
日本でもいずれ本薬剤が承認されるものと期待されます。
地図状萎縮が小さな時期に本薬剤で治療することで、より良好な視機能を維持し、生活の質の維持につながると思われます。