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総脂質と飽和脂肪酸の摂取比率が多い日本人糖尿病患者は、糖尿病網膜症になりやすいという慶應大学眼科を中心とする研究チームの論文が、科学雑誌Nature系列のオープンアクセスジャーナルScientific reportsに掲載されました。
この研究では、次世代多目的コホート研究「JPHC-NEXT」に参加している茨城県筑西市の45歳から74歳までの5691人のうち、糖尿病に罹患している647人を対象としています。
JPHC-NEXTは、国民の健康の維持・増進、がんや生活習慣病の予防・治療などに役立てることを目的に、2011年から全国の複数地域の住民を対象に、生活習慣・生活環境に関するアンケート調査、血液や尿検査などを追跡調査するプロジェクトで、その結果は医学研究や対象地域の健康づくり対策に利用されています。
世界保健機構(WHO)は、1日の摂取カロリーに占める総脂質の比率を30%以内に、飽和脂肪酸は10%未満に抑えることを推奨しています。
厚生労働省の国民健康・栄養調査報告によると、日本人の1日摂取カロリーに占める総脂質と飽和脂肪酸の比率はそれぞれ28.7%と8.4%で、今回の研究対象の糖尿病患者では22.0%と7.3%で、いずれも日本人の平均値よりも低い摂取比率でした。
今回の研究結果は、日本人糖尿病患者はWHOの推奨レベル以内の総脂質と飽和脂肪酸の摂取比率であっても、摂取比率が高いほど糖尿病網膜症を発症しやすくなることを示しています。
研究対象者の1日の平均総摂取カロリーは2292.5キロカロリーで、1日の活動量によって推奨される摂取カロリーに幅がありますが、対象者の平均摂取カロリーは過不足がない状況でした。
糖尿病治療の最優先は総摂取エネルギー量の制限ですが、総脂質と飽和脂肪酸の摂取比率にも留意する重要性がこの研究で確認されました。