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視機能が悪い方は認知症になる頻度が高いという米国ミシガン大学の研究がJAMA Ophthalmology電子版に掲載されました。
本研究は2021年に行われた米国国民健康高齢化傾向調査の対象となった2967人の調査結果を解析しました。
国民健康高齢化傾向調査は、65歳以上の公的医療保険制度受給者から抽出した調査対象に、年に一度の直接面談を行い、認知能力と身体能力、日常生活の活動状況や生活環境など、高齢者に関連する幅広い領域の情報を収集します。
今回のミシガン大学の研究では、2967人のうち12.3%が認知症でした。
本や書類など、手元の物を見るのに不便な方の認知症の割合は21.5%、
遠くを見る視力がやや悪い方では19.1%、
遠くが極度に見えない方では32.9%、
コントラスト感度が低下している方では25.9%で、
いずれも、視機能に障害が無い方と比べると、認知症を患う方が高頻度でした。
近方視力に障害がある方は無い方と比べ、認知症になるリスクが1.40倍高く、
コントラスト感度が低下している方は低下していない方と比べ、認知症になるリスクが1.31倍、遠方視力が著しく障害されている方はそうではない方と比べ、認知症になるリスクが1.72倍でした。
さらに、近方視力障害や遠方視力障害、コントラスト感度の低下が重複して生じている方は、どれか一つを患っている方よりも認知症になりやすいことも判明しました。
ただ、近方視力に問題がある方の多くは、近用眼鏡の装用で近くが見やすくなり、遠方視力に問題のある方の多くは遠用眼鏡の装用や白内障手術で遠方視力が改善します。
以前このブログで紹介した奈良県立医大の論文でも、
認知症患者さんの視力は正常な認知機能の方と比べ不良であること、
白内障手術を受けた方は認知機能が低下しにくいことを報告しています。
人が得る情報の80%は目から入ってくる視覚情報です。
視機能の低下による情報量の低下が、認知機能の低下につながると考えられます。
目の健康を守り、いつまでも良い視力を保つことは、自立し活動的な人生を送るために大変重要です。
視機能の維持が認知機能の維持、ひいては健康寿命の延長につながるようです。