緊急の眼科受診が必要な飛蚊症
飛蚊症についてはこのブログで何回か取り上げていますが、
目の前に糸くずやタバコの煙のような影が動いて見える症状です。
飛蚊症の原因の主に、目の中にある硝子体の加齢性変化によるので、通常は治療を必要としないのですが、時に網膜剥離や網膜裂孔といった早急な治療を要する疾患が生じていることがあり、突然、飛蚊症を自覚するようになったり症状が悪化したら、早めに眼科を受診することが推奨されています。
米国眼科学会の機関誌のひとつであるOphthalmology Retinaに、「どの様な飛蚊症がより緊急性を要するか」について検討したミシガン大学の論文が掲載されました。
その結果、下記に該当する方は、網膜剥離や網膜裂孔が生じているリスクが高いため、早急な眼科受診が求められると報告しています。
1)飛蚊症に加え、かすんで見えたり、カーテンやベールがかかった様に見える
2)どちらかの目に網膜剥離や網膜裂孔を治療したことがある
網膜が裂けて網膜裂孔ができると、網膜の細い血管が破れて出血が目の中に拡散するため、視野の全体がかすんで見えたり、目の中に拡散した出血に濃淡があると濃い部分があると、目の前を浮遊して見える影も濃く、飛蚊症の症状がより強く自覚されます。
また、他眼に網膜裂孔や網膜剥離の治療を受けた方は、もう一方の眼に網膜裂孔や網膜剥離が生じるリスクが高いことが報告されていますし、治療した網膜剥離や網膜裂孔が再び悪化した際には飛蚊症が増加することが知られています。
今回の論文で、1)や2)に該当する方は早急な眼科受診を要することが、改めて確認されました。
突然、飛蚊症が悪化したら、特にかすみ感を伴ったり、網膜剥離や網膜裂孔の治療歴のある方は、早急に眼科を受診してください。
カテゴリー
- お知らせ (40)
- ブログ (388)
- iPS細胞 (17)
- IT眼症 (8)
- OCTアンギオ (6)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (34)
- サプリメント (13)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (14)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (13)
- 加齢黄斑変性 (93)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (19)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (11)
- 糖尿病網膜症 (39)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (2)
- 網膜剥離 (14)
- 網膜動脈閉塞 (7)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (11)
- 緑内障 (26)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (27)
- 近況報告 (81)
- 近視予防 (33)
- 飛蚊症・光視症 (14)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (2)
- 未分類 (8)
アーカイブ
最新の記事
- 2024.11.20
- 新生血管型加齢黄斑変性に対する点眼治療薬の開発が進行中です
- 2024.11.11
- HBCテレビ「今日ドキッ!」で近視の児童生徒の増加を取り上げていただきました
- 2024.11.11
- 年末年始の診療について
- 2024.11.11
- 令和6年12月25日(水)受付開始10:30です
- 2024.11.11
- 令和6年12月7日(土)は休診です
- 2024.11.3
- 萎縮型加齢黄斑変性の進行を抑えるサプリメント
- 2024.10.24
- 2024年米国眼科学会(AAO)総会
- 2024.10.18
- 白内障手術:最近の多焦点眼内レンズについて
- 2024.10.9
- 3歳児健診
- 2024.10.3
- 近視の進行を抑える低濃度アトロピン点眼
HBCテレビ「今日ドキッ!」で近視の児童生徒の増加を取り上げていただきました
年末年始の診療について
2024.11.11 お知らせ
令和6年12月25日(水)受付開始10:30です
2024.11.11 お知らせ