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12月9日、神戸アイセンター病院の研究グループが記者会見を行い、iPS細胞から作られ「ひも状」に加工された網膜色素上皮細胞の移植手術を、「網膜色素上皮不全症」の患者に施行したことを報告しました。
同病院の研究グループは、世界で初めてiPS細胞から作成した網膜色素上皮細胞を加齢黄斑変性の患者に移植したチームです。
網膜色素上皮細胞は、光を感じ取る機能を持つ視細胞を保護し、視機能の維持に重要な役目を担っています。
加齢黄斑変性や網膜色素変性症などの網膜疾患では網膜色素上皮細胞の働きが低下したり、脱落することで、視機能が障害されます。
現時点では、働きが低下したり脱落した網膜色素上皮細胞を回復させる治療法はありません。
神戸アイセンター病院ではこれまで、iPS細胞から作られた網膜色素上皮細胞を、シート状に加工して移植してきましたが、今回は幅0.1mミリ、長さ2センチのひも状に加工した網膜色素上皮細胞の移植を行いました。
ひも状に加工した細胞を使うことで手術手技がより安全で簡易になり、細胞の定着率が良好で、治療効果が高まることが期待できるようです。
神戸アイセンター病院では今回移植を行った症例を1年間観察し、安全性を確認した後、5年間でさらに49例に移植手術を行い、安全性や有効性を確認する予定とのことです。
iPS細胞から移植に必要な数の網膜色素上皮細胞を作り、細胞を元気な状態に維持するには、慣れた技術者の手作業が必要です。
たくさんの患者さんを治療するためには、限られた技術者の手作業では細胞供給が追いつきません。
そこで今回の移植には、ロボットとAIを用いて自動化・高度化された細胞製造を取り入れているようです。
ロボットとAIを用いて高品質な細胞を安定して製造することで、計50例の移植治療が可能になるものと思われます。
治療法がなかった患者さんの視機能向上につながる治療法であると期待されます。
早い時期での実用化が待たれます。