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瞳の色と遺伝子

最近はカラーコンタクトレンズ(カラコン)で瞳の色を変えることができますが、アジア人の多くは茶色やこげ茶色です。

世界的には茶色、青色、グレー、緑色と多彩です。稀ですが、紫の方もおられます。

瞳の色は、虹彩(いわゆる茶目)に含まれるメラニン色素の量によって違うと考えられています。

メラニン色素は、黒あるいは褐色のユウメラニンと、黄色ないし赤色のフェオメラニンの2種類があります。

メラニン色素は、紫外線から目を守る働きがあり、太陽の光が強い暑い国ではメラニン色素が多い黒や茶色の瞳の人が多く、太陽光が弱い寒い国ではメラニン色素の量が少ないグレーや青色の瞳の人が多いといわれています。

また、虹彩の表面は網の目のような凹凸があり、虹彩紋理と呼ばれています。

虹彩紋理は指紋のように個々人で微妙に異なっており、個人認証に使われることがあります。

これまで、虹彩の色を決める遺伝子は主に2つあると考えられていました。

科学雑誌Science Advancesの3月号に、虹彩の色の決定に関与する新たな遺伝子領域が50個以上見つかったという論文が掲載されました。

この研究ではヨーロッパの19万人以上を対象に、ヒトが持つ全ての遺伝子を解析しました。

今回新たに同定された遺伝子領域には、虹彩の2種類のメラニン色素の量に関わる遺伝子や、虹彩紋理や虹彩の厚みを決定する遺伝子などが含まれています。

外部から目の中に入った光の一部は、虹彩の表面で反射し、虹彩の色味に影響を与えるのですが、虹彩の形状や厚みで光の反射が違うため、仮に虹彩のメラニン色素が同量でも形状や厚さが違えば、虹彩の色味が変わるのです。

瞳の色には遺伝子が非常に複雑に関わっていることが明らかになりました。

この研究ではアジア系の1600人以上の遺伝情報も解析しており、さらに研究を進め、ヨーロッパ系の人と比較することで、古代の人類の移動や自然淘汰といった人類学的な解析にもつながるようです。

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