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網膜色素変性症に対する新たな細胞治療薬の開発

米国カリフォルニア州に本社があるjCyte社は、遺伝性疾患の網膜色素変性症に対する治療薬として、従来の治療法と比べ独創的で有用性が高い可能性を秘めた新薬の開発を目指し、米国内で臨床治験を行っています。

網膜色素変性症は、遺伝子変異が原因で網膜の視細胞や色素上皮細胞の働きが悪くなる病気で、夜盲(暗いところで見えにくい)、視野狭窄(見える範囲が狭い)、視力低下といった症状が起こります。

一般的に10歳代で発症し、徐々に症状が進行します。中高年になると失明に至る症例も散見され、日本では中途失明の原因疾患の第3位です。

日本では4,000人に一人くらいの割合で患者さんがおられます。

現時点では治療法が確立されておらず、遺伝子治療、人工網膜、網膜再生、視細胞保護治療などの研究・開発が行われています。

jCyte社が開発中の治療は、網膜前駆細胞と呼ばれる細胞を主成分とする薬剤を目の中に注射します。

眼内に投与された細胞は、網膜の修復や再生・網膜保護に作用する物質を分泌することで、網膜細胞の保護・活性化を図り、網膜細胞の変性を抑え、病気の進行を抑制できると期待されます。

網膜色素変性症の原因遺伝子はたくさん見つかっており、原因遺伝子を修復する遺伝子治療では、修復する遺伝子ごとに治療薬を変える必要があります。

一方、jCyte社が開発中の治療薬は原因遺伝子にかかわらず、あらゆる網膜色素変性症が適応となります。

また、目の中への注射ですので、繰り返し薬物を投与することができる利点もあります。

(現在行われている原因遺伝子を修復する遺伝子治療や網膜再生の細胞移植は、治療薬や移植細胞を黄斑部網膜の裏側に投与する必要があり、手術が必要です)

さらに、網膜色素変性症以外の網膜細胞が変性する疾患に対しても有効かもしれません。

治療法が確立していない網膜色素変性症に、臨床現場で使いやすい有効な治療薬が早く登場することを期待したいです。

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