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眼科3団体が「近視のテレビ報道」に注意喚起

出勤準備の時間帯は、TBSの「あさチャン!」を見ています。

昨年11月6日に放送された「あさチャン!」で、近視が取り上げられ、

「東京都内の小中学生の近視の有病率は70%から90%程度とかなり高い」、「失明につながることのある近視の子供が中学生の1割に上る」ことや、

「学校での太陽光や外遊びの時間を持つことが学童近視の予防に有用」との研究結果や、「紫色の光(バイオレットライト)照射が近視進行を抑える」と言う基礎研究が紹介されました。

この放送に対し、12月11日、日本眼科学会、日本眼科医会、日本近視学会の3団体は、近視に関する解説と治療について見過ごせない内容が発言・放送されたことにより、誤った情報が伝わり、国民に過剰な不安を抱かせる可能性があると懸念し、以下のような見解を公表しました。

近視の度数が強いものを「強度近視」と呼びますが、近視が原因で直接失明を起こす「病的近視」とは明らかに異なるものです。

「病的近視」には遺伝的背景も大きく、近視が進んだから「病的近視」になるわけではありません。「病的近視」と異なり、「強度近視」の方のほとんどは生涯良好な矯正視力を保つことができます。

また、近視が増えている原因は、近業の増加など様々な要因によるものであり、屋外活動の減少だけが原因ではありません。また、目に直接バイオレットライトを照射する方法は確立された治療法ではありません。

国民の皆様には、受診する医療機関や治療方法を選択される際には、主治医の先生から十分な説明を受けた上で、安全で安心な医療が受けられますようにと願います。

「強度近視」は単に近視の程度が強い状態を指し、一般的に6(D)ジオプターあるいは8Dを超える強い近視、あるいは眼軸長(目の長さ:正常24mm前後)が26mm以上と定義されます。

一方、「病的近視」は目の長さが延長し、網膜や脈絡膜が眼球後方に引っ張られた結果、網膜や脈絡膜が萎縮したり、眼球後部の眼球壁が局所的に伸展し、後方に突出・拡張する後部ぶどう腫などを有する状態です。

これらの病変により病的近視では視機能が障害され、失明に至る方もおられます。

病的近視の原因は遺伝的な素因が大きいのですが、その他の環境的要因も大きいと考えられています。特に、近視が進行する小児期に正しく管理を行うことで、近視の進行を抑制できれば、大人になったあとの合併症による失明を防ぐことができるのではと期待されています。

以前に本ブログで紹介いたしましたが、野外などで太陽光を浴びることで学童の近視進行が抑制されることが確認されており、近視の割合が多いアジア諸国の中には、学校の授業や休み時間の過ごし方などに工夫をし、児童が太陽光を浴びる時間を増やす取り組みが行われています。

また学童期の近視の増加には、スマホやテレビゲームなどの画面を見る機会の増加が一因と考えられており、これに対する対策も重要です。

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