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萎縮型加齢黄斑変性の治療薬 第2相治験結果

現在は有効な治療法がない萎縮型加齢黄斑変性ですが、

アペリス社(米国ケンタッキー州)が開発した萎縮型加齢黄斑変性治療薬の有効性を評価した第2相治験の結果が、2020年2月号のOphthalmology誌に掲載されました。

第2相治験は、少数の患者さんを対象に「本当に病気に対する効果があるのか」「どの程度の量やどのような使い方をすればよいか」などを調べます。

第2相治験で有効性が確認されると、第3相治験では多数の患者さんを対象に「すでに市販されている薬などと比較して効果や安全性が優れているか」などが検討されます。

その後、米国ならFDA(食品医薬品局)、日本なら厚労省の承認を得て、医療機関での薬剤使用が可能になります。

加齢黄斑変性は網膜の中央部である黄斑に、加齢性の変化により慢性的に炎症が持続し、光を感じる視細胞が脱落したり(萎縮型加齢黄斑変性)、網膜の裏から新たな血管の膜が生える(滲出型加齢黄斑変性)病気です。

補体と呼ばれる蛋白質は炎症の制御に重要な役割を担っており、補体の働きに関与する遺伝子の違いが加齢黄斑変性の発症リスクに影響を与えることが知られています。

アペリス社の薬剤は、補体の働きを阻害する目的で開発されました。

今回の第2相治験では246人の萎縮型加齢黄斑変性患者を、治療薬を毎月眼内に注射する群、治療薬を2か月毎眼内に注射する群、無治療で経過観察群の3群に分け、視細胞が脱落した領域(黄斑萎縮)の面積を比較しました。

その結果、治療群では無治療群と比べ、黄斑萎縮面積の増加が明らかに小さく、薬剤が黄斑萎縮の進行を抑制することが確認されました。

また薬剤の安全性も確認されており、第3相治験が行われる予定です。

1998年に福岡県久山町の住民を対象にして行われた調査では、50歳以上の0.87%に加齢黄斑変性がみられ、日本人の全人口に換算すると約37万人が加齢黄斑変性に発症していると推測されていました。

その9年後に行われた同様の調査では、発症割合は1.3%にまで上昇し、日本人全体の推定患者数は約69万人(50歳以上の8人に1人が罹患)となり、9年間の間に2倍以上も増加したと推計されました。

日本では加齢黄斑変性の約10%が萎縮型加齢黄斑変性で、残りの90%が滲出型加齢黄斑変性と報告されています。

滲出型よりは患者数の少ない萎縮型加齢黄斑変性ですが、患者さんの数は確実に増加中です。

萎縮型加齢黄斑変性では黄斑萎縮の拡大により視力が徐々に低下します。

萎縮の進行を抑えることができる有効な治療薬の登場が切望されます。

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