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睡眠中の明かりが近視を誘発

6月10日、JAMA Internal Medicineという科学雑誌に「明かりをつけての睡眠は肥満のリスクを高める」という主旨の論文が掲載されました。

真っ暗な状態での睡眠と比べ、わずかな明かりでも肥満リスクが高まると報告されています。

この報告が朝の情報番組で取り上げられ、

教育評論家の尾木直樹さんが「睡眠中の明かりで近視になるという報告がある」とコメントされました。

尾木さんが紹介された論文は、世界で最も権威のある科学雑誌ネイチャーに1999年5月に掲載された研究です。

この研究では、2歳から16歳の479人を対象に、睡眠時の明かりについて聞き取り調査を行いました。

近視や強度近視の割合は、生後2年間の睡眠時の明るさと強い関連性があり、終夜灯よりも室内灯の元での睡眠の方が近視になりやすいという結果でした。

しかしこの論文では、なぜ睡眠中の明かりが近視を引き起こすのかについての考察はありません。

最近の研究で、強度近視の子供の睡眠の質が悪いことや、睡眠の質に関わるメラトニンの血中濃度が近視患者では高値であるなどと報告されています。

また、メラトニンの血中濃度が眼球の成長に関与するという報告もあります。

近視は眼球の長さが伸びる病気です。

メラトニンは夜間の睡眠時に分泌が増加し血中濃度が増加します。逆に日中の明るい環境で分泌が低下し、血中濃度は低下します。

明るい環境での睡眠は、睡眠時のメラトニン分泌を低下させると推測されます。

「睡眠中の明かりが近視を引き起こす」という報告と、「近視患者ではメラトニン濃度が高値」という報告には矛盾があるように思われます。

睡眠時の明かりと近視の関連については、さらなる研究が必要のようです。

ところで「明かりをつけての睡眠は肥満のリスクを高める」という論文ですが、

研究チームは、睡眠時の人工的な光がメラトニン分泌を抑制し、体内時計が乱れることで食生活にも変調をきたし、肥満につながるのではと推測しています。

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