飛蚊症と網膜剥離
ご存知の方も多いかと思います。
9月24日に演歌歌手の小林幸子さんが、右眼の網膜剥離(裂孔原性網膜剥離)に対する手術を受けられたことが報じられました。
9月中旬から飛蚊(ひぶん)症の症状があり、21日に都内の病院で「裂孔原性網膜剥離」と診断され、3日後には飛蚊症がさらに悪化、手術となったそうです。
そこで、飛蚊症と裂孔原性網膜剥離の関係につい解説したいと思います。
網膜は眼球壁の内側を覆う神経の膜で、光を感じる働きを持ち、カメラのフィルムに例えられます。
目の中には硝子体という、生卵の白身のような透明なゼリー状の液体が入っていて、網膜と接着しています。
加齢性の変化として、或る日突然、網膜に接着している硝子体が網膜から剥がれる現象が起こります。これを後部硝子体剥離といいます。
後部硝子体剥離が生じると、リング状の線維が目の中に浮遊し、網膜に影を落とすため、患者さんは飛蚊症を自覚します。
後部硝子体剥離は50歳以降で生じることが多く、それ自体は加齢による生理的変化で病的な状態ではなく、飛蚊症の症状も悪化しません。
しかし、硝子体と網膜の癒着が強い場所があると、硝子体が網膜から剥がれる際に、その部分がひっぱられ網膜に裂け目(裂孔)ができることがあります。
網膜が裂けると、網膜の血管が切れて出血が目の中に流れ出し、目の中に多量の出血が浮遊し網膜に影を落とすため、飛蚊症が悪化します。
網膜裂孔は硝子体に引っ張られており、網膜裂孔周囲の網膜が眼球壁から剥がれます。
さらに、硝子体の液体成分が網膜裂孔から網膜の裏側に流入し、網膜剥離の範囲が急速に拡大します。
後部硝子体剥離を機に網膜裂孔が生じ、裂孔原性網膜剥離が発生します。
網膜裂孔とその周囲の網膜を引っ張っている硝子体が病因なので、手術で硝子体を切除し、網膜裂孔とその周囲網膜への牽引を無くします。
次に眼内に気体を入れ、剥がれた網膜の裏に溜まった液体を除去し、網膜を眼球壁に接着させるのが、硝子体手術です。
ところで、小林幸子さんが使用している貼る眼帯。(東スポwebから引用)
当院でも同じものを使っています。
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